2026-04-07

CADと3DCGの違いって?

工業製品の3DCG制作で必ず必要となるもの。それは、製品のCADデータです。
ここでは、端的に3DCGとCADって何が違うの?ということを3DCG製作者側の視点から、初歩的な内容ですが、お話したいと思います。こんなお題をあげている当の私も、3DCG始めた頃はCADデータに触れる機会さえなく、違いもさっぱりわからずだったのですが、必要に迫られてCAD系ソフトでモデリングを行うようになってから、CADの得意とするソリッドモデリングの便利さに驚きました。何がすごいって、ポリゴンモデリングでやると発狂するレベルのベベル(CADではフィレットっていいますね)、ブーリアン演算などが、もう、楽しくなるくらいあっさりできてしまうのです。なぜ、ポリゴンモデリングで苦労することがCADでは簡単にできるのか?

ソリッドモデリングとポリゴンモデリング

CADと3DCGは、どちらも「3次元のモデルを作る」という点では同じですが、その目的と仕組みが根本的に異なります。

CAD(Computer Aided Design)
主な目的:工業製品の設計、建築、製造
重要視する点:実寸法、公差、物理的な整合性
内部のデータの扱い:数学的に厳密な曲線、曲面

3DCG(3D Computer Graphics))
主な目的:映画、ゲーム、広告、アート
重要視する点:見た目の美しさ、動き、質感
内部のデータの扱い:ポリゴン(多角形)の集合体

この比較で私が驚いた内部データの扱い、つまりモデリングの方式の違いですね。現在の3DCADはソリッドモデリングと呼ばれる、中身が詰まった状態で削ったり、足したりしながらモデリングしていくのですが、3DCGの場合は、表面上に面が貼られただけの風船のような状態でモデリングをしていくのです。

数式(NURBS)で定義されるCAD

CAD系ツールを使って、先に述べたベベルやブーリアンがサクサクヌルヌルできることに驚いたと同時に、エッジとエッジをブリッジするとき、点と点をつなぐときに「曲線率」というものがコマンドに出てきて「なんじゃこりゃ?」状態になったのと、美しい曲線を作ろうとするにも「数学的正しさ」がない線はエラーが出て、作れないというポリゴンモデリングでは有り得ない仕様になっていることでした。まあ、先に述べたCADと3DCGの目的や重視する点を考えてみたら当たり前なのです。CADが感覚的にモデリングできてしまったら、製品としての設計から製造まで事故が発生することは明らかです。この数学的な正しさに沿ったモデリングができるからこそ、コンパスで描いたような完璧で美しいサーフェスを持つ工業製品などが作られるわけですね。

ポリゴンの集合体でつくる3DCG

一方、3DCGはというと、頂点と頂点を辺で繋ぎ、面を形成したポリゴンとよばれるものの集合体によって、形を形成していきます。このポリゴンは、通常のモデリングでは4角形でモデリングしていくのが基本なのですが、3DCGの仕様上、最終的には三角形で計算されなおして、映像や静止画として出力されていきます。なぜ三角形かというと、この形が面の形状や向きの計算がしやすく、4角形から3角形の変換も容易だからです。ベベルやブーリアンを3DCGで行うと、面が荒れやすくなります。これは、4角形のものだった面が、ベベルやブーリアンによって、多角形になりツール側で面の形成するための計算ができなくなるんですね。そうなると、面がぐちゃぐちゃに荒れ状態で表示され、手作業で「直し」が必要になってくるのです。地味に大変。

しかし、この3DCG特有のルールを守っていれば、実に感覚的にモデリングを進めていくことができます。CADでは作ることができない生物や形状が変化するものなどは、3DCGの得意分野でしょう。
また、ライティングやテクスチャ表現によって、リアルに表現することも視覚表現を目的としている3DCGならではと言えます。

CADから3DCGへ

以上の違いからCADデータを3DCGツールにもっていくときに、CADデータの緻密な情報量を減らしてあげないと3DCG上では扱えないことが多いのです。そのために、CADの中間ファイルとしてよく使われるSTEP形式など、汎用性の高いデータを3DCG上の扱えるように変換し、さらにマテリアルやテクスチャを面に貼れるように情報量を程よく減らしながら3角、4角のポリゴンに作り直したりすることで、ようやく3DCGツールのなかでデータとして扱えるようになるのです。(このテクスチャをどうやって作るのか、はまたこんどお話します)情報量を減らすというと、設計した人は「おいおい」と思われるかもしれませんが、3DCGの目的は「ビジュアライズ」です。見た目が遜色なければ、扱うデータ量が実際にCADより少なくても何も問題は起こりません。見た目が全て。その見た目を美しく説得力のあるものにするために、3DCG上では、モデリング後にマテリアル作成、ライティング、アニメーション、レンダリングと気の遠くなる作業工程が待ち構えているのです。

最後に

さて、お題があっても取り留めのない話になりそうなので、CADと3DCGのお話はここまでにして、次回のブログから3DCG技術周りのお話もしたいと思います。

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